「要介護認定」という言葉をご存知でしょうか? 介護が必要になった時に、どの程度の介護サービスを受けられるかを決定するために、市区町村が行う調査のことです。この調査は、私たちの生活に深く関わる重要なものですが、その仕組みや内容について、詳しく知っている人は少ないかもしれません。
今回は、要介護認定調査について、わかりやすく解説していきます。特に、認定調査員の方々に向けて、調査の目的や留意点を被調査者について調査結果の重要性について、より深く掘り下げていきます。
認定調査の目的
要介護認定調査の目的は、「介護が必要な人が、どの程度の介護サービスを必要としているのか」を正確に把握し、その人に合った介護サービスを提供できるようにすることです。
調査を行うのは誰?
認定調査は、主に以下の2種類の人が行います。
- 市町村職員: 新規の認定申請の場合に多く行われます。
認定調査員: 更新や区分変更の申請の場合に、市町村職員に加えて委託されることがあります。認定調査員は、介護に関する専門知識を持ち、都道府県や指定都市が行う研修を修了した人です。多くはケアマネジャーの資格を持つ人が一定の研修を受けてから取り組みます。1調査費用は概ね4,000円程度の報酬となります。
調査の内容は?
調査の内容は、大きく分けて以下の3つがあります。
- 概況調査:
- 調査対象者の基本情報(氏名、住所など) ➡本人の認知力を含めてのち確認項目。
- 家族構成 ➡事実確認では介助者がどれだけいるか、また介助できる状態にあるかどうかが確認項目となります。ちなみに介助者がいないという事であれば家族に介助力がない状態という判断をされます。
- 現在の健康状態➡病気、過去の手術などを確認します。医師も行政も確認できていない場合があるので必ず確認します。
- 利用しているサービスなど➡介護保険のサービスをどれだけ使っているか?という確認と過去にバリアフリー工事など行っているか?介護用品など購入していないか?を確認します。
- 基本調査:
- 身体機能(歩く、立つ、座るなど) ➡椅子からの立ち上がりや杖、歩行器を使っての動作確認を行います。ベッドで立ち座りができない人はそのままの状態で
- 生活機能(食事、排泄、着替えなど)➡食事の準備、買い物、調理、電子レンジ、炊飯機を使っているか?着替え準備、着替え方法を確認し、排泄の失敗や頻度を確認します。
- 認知機能(記憶力、判断力など) ➡認知機能を聞き取ります。主には認知力が低下して具体的に介助者が困っている事象について確認します。その頻度と時期についても確認する事となります。
- 精神・行動障害(徘徊、妄想など) ➡徘徊行為など問題行動の回数、頻度、具体的な対応方法を確認します。収集癖や虚言壁、暴言、暴力なども同様に確認します。
- 社会生活への適応(買い物、料理など) ➡買い物をだれに頼んでいるか。どのようなオペレーションなのか?を確認します
- 特記事項:
- 基本調査では十分に把握できない、個々の状況や特徴などを記述する欄です。必ずと言っていいほど入力します。この項目も入力方法が決まっているので事細かに聞き取った内容を個別具体的に入力します。
調査のポイント
- 正確な情報収集: 調査対象者や家族から、正確な情報を聞き出すことが重要です。➡調査を受ける側は正直に聞かれた内容に沿って回答しましょう。話がズレることが多く発生し、調査時間が長くなります。
- 丁寧な説明: 調査の目的や内容を、調査対象者にわかりやすく説明することが大切です。 ➡調査を受ける側としてはずばり何を聞きたいのか?分かりにくいことは聞いてみてください。調査員は行くべき内容を把握しています。
- 客観的な評価: 主観的な判断ではなく、客観的な事実に基づいて評価を行うことが求められます。➡定量的に回答しましょう 定性的な表現だと調査員が報告できないことが概ねです
- プライバシー保護: 個人情報を取り扱うため、厳重な情報管理が必要です。 ➡調査員や行政は個人が特定されないようにしています。
調査結果の活用
調査結果は、介護認定審査会で審議され、最終的に要介護度が決定されます。要介護度によって、利用できるサービスの種類や利用時間などが決まるため、調査結果は、介護サービス計画を立てる上で非常に重要な情報となります。
認定調査員が注意すべき点
- 専門知識の習得: 常に最新の知識を習得し、調査に臨むことが大切です。
- 倫理観の保持: 調査対象者のプライバシーを保護し、公平な立場で調査を行う必要があります。
- コミュニケーション能力: 調査対象者や家族と円滑なコミュニケーションを取る能力が求められます。
- 記録の正確性: 調査結果は、正確に記録し、漏れがないようにすることが重要です。
まとめ
要介護認定調査は、介護サービスを受ける上で非常に重要な手続きです。認定調査員は、専門的な知識と技術を駆使して、正確な調査を行い、一人ひとりに合った介護サービスを提供できるよう貢献しています。
この記事では、要介護認定調査の基礎的な知識について解説しました。より詳しく知りたい方は、専門書や関係機関のウェブサイトなどを参考にしてみてください。
読者へのメッセージ
この記事を読んだあなたも、いつか介護が必要になるかもしれません。その時、自分がどのようなサービスを受けられるのか、少しでも理解を深めていただけたら幸いです。
また、介護に関わる仕事に興味を持った方も、ぜひこの分野で活躍してみてください。最近は副業として取り組まれる方も多く増えています。
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