
こんにちは、「さいたま猫」です。
介護認定調査、後見人、宅建士、社会福祉士、行政書士、リフォーム相談……。現場で「お金」と「人の尊厳」のせめぎ合いを嫌というほど見てきた私が、今日は少し「耳の痛い、でも大切な話」をします。
先日、東京新聞(こちらの記事)で大きなニュースが流れました。品川区が2025年度から、区立中学校の制服代や修学旅行費を「所得制限なし」で無償化するというものです。修学旅行費の公費負担は1人あたり約7万5千円。
※ほかの地域でも埼玉県所沢市”yahooニュース”修学旅行無償化に反対裁決の見通し。バラマキとの批判。
新年度予算案を否決 埼玉・所沢市議会の予算常任委員会 修学旅行無料に反対意見 「一度やれば継続するもの」「慎重に議論すべき、ばらまきではないか」 16日の本会議で採決が行われる見通し(埼玉新聞) - Yahoo!ニュース埼玉県所沢市議会の予算常任委員会(中毅志委員長)は5日、総額1321億8千万円の2026年度一般会計予算案を賛成少数で否決した。小中学校の修学旅行無料化(3億667万円)について、反対意見が上がっ
「うらやましい!」「子育て世帯にはありがたい!」という声が上がる一方で、私はふと考えました。この**「7万5千円」という数字。実は、介護の現場で私たちが毎月のように動かしている「あるお金」と、ほぼ同額なのです。**
今日は、この「7万5千円」というキーワードを軸に、私たちの社会が誰を、どう支えているのか、その舞台裏をのぞいてみましょう。
品川区の決断が投じた一石:なぜ「所得制限なし」なのか?
品川区の今回の施策は、かなり踏み込んだものです。これまでの福祉の常識では「困っている家庭にだけ支援を」という所得制限が一般的でしたが、今回は「全員」です。
- 修学旅行費(中3): 約7万5千円を全額公費負担
- 制服代(新1年生): 最初の1着を無償化(約3〜4万円)
「隠れ教育費」と呼ばれる保護者の負担を、自治体が丸ごと引き受ける。これは「子どもは社会の宝であり、その成長に格差があってはならない」という強いメッセージです。行政書士の視点から見れば、公平性を担保しつつ、子育て世代の定住を促す極めて戦略的な行政判断と言えます。
しかし、現場を知る社会福祉士として、あえて問いたい。
この「7万5千円」を、私たちは「一生に一度の思い出」に使うのか、それとも「日々の生きる支え」に使うのか。
介護のリアル:週2回のデイサービスにかかる「社会のコスト」
ここで、視点を高齢者介護に移してみましょう。
「デイサービスに週2回通う」という、ごく一般的な風景。利用者さんが窓口で払うのは、食費を含めても月1万5千円程度。これだけ見ると、修学旅行よりずっと安く感じますよね。
しかし、その「裏側」を計算したことはありますか?
要介護1の方が1日型のデイサービスを月8回利用した場合、社会全体が支払っているコスト(総費用)は、実は月額で約7万5千円〜8万円に達します。
デイサービス(週2回/月8回)のコスト構造
| 負担項目 | 1ヶ月あたりの金額(目安) | 備考 |
| 本人の自己負担 (1割) | 約14,400円 | 食費込み。窓口で払うお金 |
| 社会保険料の負担 | 約30,400円 | 40歳以上の現役世代+高齢者が拠出 |
| 公費(税金)の負担 | 約30,400円 | 国・県・市町村が折半 |
| 総額(社会的なコスト) | 約75,200円 | これが「本当の値段」 |
気づきましたか?
品川区の子どもが一生に一度、税金でプレゼントされる「修学旅行代」と、高齢者が「毎月」デイサービスで受けている「社会的な支援額」は、ほぼ同額なのです。
普遍的なテーマ:限られたパイをどう分けるか
私たちは今、大きな問いを突きつけられています。
- 「一生に一度の輝き」への7.5万円(教育)
- 「日々の安心した暮らし」への月7.5万円(介護)
どちらが大切か、という議論に正解はありません。
社会福祉士として言えば、デイサービスは「孤独死の防止」や「家族の離職防止」に直結する生存権の守り神です。
一方で、後見人や宅建士として街の将来を見据えると、子どもたちへの投資を惜しめば、街は活力を失い、最終的には高齢者を支える財源すら枯渇してしまいます。
これこそが、いつの時代も変わらない**「資源配分のジレンマ」**という普遍的なテーマです。
私たちが納めている税金や社会保険料は、打ち出の小槌ではありません。
「修学旅行を無償化してほしい」と願うなら、同時に「その財源をどこから削るか、あるいはどこから追加で徴収するか」という苦い議論からも逃げることはできません。
さいたま猫が現場で感じる「支え合い」の形
私は日々、デイサービスへの送り出しに苦労するご家族や、リフォームで手すり一本をつけるかどうかで悩む高齢者の方々と接しています。彼らにとって、毎月の介護費用は「重い」ものです。
でも、同時に思うのです。
もし、子どもたちの修学旅行が無償化されることで、その家族の家計に余裕ができ、その笑顔が地域に広がるとしたら……。それは、巡り巡って、高齢者の方々が「若い人に支えられている」と感じられる、温かい街づくりに繋がるのではないか、と。
「誰かが得をして、誰かが損をする」というゼロサムゲームで考えるのではなく、「今、社会のどこにエネルギーを注ぐのが、未来の自分たちのためになるか」。そんな視点が、今、最も求められています。
まとめ:あなたの街の「7万5千円」はどう使われるべき?
品川区のニュースは、決して他人事ではありません。
私たちの社会保険料も、税金も、すべては一本の道で繋がっています。
- 子どもへの投資は、未来の担い手を育てること。
- 高齢者への支援は、現在の尊厳を守ること。
このバランスをどう取るか。それは、私たち一人ひとりが選挙に行き、ニュースに関心を持ち、地域で声を上げていくことでしか決まりません。
この記事を読んでくださったあなた。
もし自分の手元に、社会を変えるための「7.5万円」があったら、あなたなら誰のために使いたいですか?
ぜひ、コメント欄やSNSで、あなたの「リアルな声」を聞かせてください。
さいたま猫でした。



コメント