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「介護士の賃上げ」の影で利用者が泣いている?さいたま猫が斬る、制度の不都合な真実

介護認定

こんにちは、「さいたま猫」です。

ケアマネジャー、行政書士、そして宅建士として「制度」と「建築」の現場を渡り歩いている私ですが、最近のニュースを見ていて、居ても立ってもいられずキーボードを叩いています。

今、永田町では**「高市政権」**のもと、介護従事者の処遇改善に向けた大きなメスが入ろうとしています。介護士さんの給料が上がる。これは間違いなく素晴らしいことです。現場の疲弊を知る一人として、拍手を送りたい。

しかし……。現場のリアルを知る「さいたま猫」の目には、その光の影に隠れた**「静かなる危機」**がはっきりと見えています。

今日は、制度の「建前」と、私たちの「財布」と「生活」の間に横たわる、あまりにも深い溝についてお話ししましょう。


1. 「賃上げ」の裏で、利用者の「受けられるサービス量」が減っている?

今回の政権交代から加速した、介護職員への「月額最大1.9万円」の賃上げ。これは介護報酬に上乗せされる「加算」によって賄われます。

ここで一つの矛盾が生じます。**「介護士さんの給料(報酬単価)は上がるけれど、利用者が使える『支給限度額(枠)』は据え置き」**という現実です。

勘の良い方はお気づきでしょう。 1単位あたりの単価が上がれば、決められた予算枠の中で「買える」サービスは少なくなります。

  • 今までは週3回デイサービスに行けていたのに、単価が上がったせいで枠が足りなくなり、週2回に減らさざるを得ない。
  • 訪問介護の時間を30分短縮しないと、限度額オーバー(全額自己負担)になってしまう。

「給料を上げる」という正義の裏で、利用者の生活の質がジワジワと削り取られている。これが今の介護保険制度が抱える、最大のアポリア(難題)なのです。


2. 「2000年からのタイムカプセル」:福祉用具と住宅改修の悲劇

特に私が危機感を感じているのは、**福祉用具(レンタル)住宅改修(リフォーム)**の分野です。

皆さんはご存知でしょうか。介護保険における住宅改修の限度額**「20万円」。この数字、実は介護保険制度が始まった2000年から一度も変わっていない**のです。

物価は上がった、枠はそのまま

26年前の「20万円」と、2026年現在の「20万円」。その価値は全く違います。

  • ウッドショックや円安による建材費の高騰。
  • 人手不足による職人の手間賃の上昇。
  • 最低賃金の引き上げ。

昔なら20万円あれば「トイレの改修と段差解消、手すりの設置」まで手が届きました。しかし今では、トイレの便器を交換して手すりを一本つけたら、もう枠はパンパンです。

福祉用具レンタルの「上限価格制」の罠

福祉用具も同様です。数年前から導入された「上限価格設定」により、不当に高いレンタル料は是正されました。しかし、仕入れ値やメンテナンス費用、ガソリン代がこれだけ上がっても、事業者は「上限」があるために価格転嫁ができません。

結果として何が起きるか。「最新の、より身体に負担の少ない高機能な車椅子」が市場から消え、壊れにくくて安い「旧世代の道具」ばかりが現場に残る。そんなサービスの質のデフレが起き始めているのです。


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3. 認定調査の現場で問われる「伝える力」

このような厳しい状況下で、私たちが自分たちの生活を守るためにできることは何か。それは、「認定調査」の場で、これまで以上に「正しく、重く」実態を伝えることです。

サービスの単価が上がり、枠がカツカツになる時代だからこそ、本来受けるべき「要介護度」を適切に勝ち取らなければなりません。

  • 「うちはまだ大丈夫」という、日本特有の「遠慮」は捨ててください。
  • 調査員が来たときだけシャキッとしてしまう「お客様対応」はやめてください。

物価高でサービス量が減るなら、それに見合うだけの「適切な判定」を引き出す。それが、行政書士であり調査員でもある私が、皆さんに伝えたい切実なメッセージです。


4. 普遍的なテーマ:制度に「依存」せず、知恵で「自律」する

いつの時代も、政治や制度は完璧ではありません。高市政権が掲げる「強い経済」や「処遇改善」は魅力的ですが、それが末端の利用者の生活にどう波及するかは、また別の話です。

私たちが学ばなければならないのは、**「制度の隙間を埋める知恵」**です。 20万円の枠で足りないなら、残置物撤去の助成金を組み合わせる。福祉用具を借りるだけでなく、安価で良質な市販品を賢く併用する。

「国がなんとかしてくれる」というフェーズは、もう終わりました。 これからの介護は、制度を「使い倒す」ための知識武装が必要な時代です。


まとめ:さいたま猫の独り言

「給料を上げる」ことと「サービスを維持する」こと。 この両輪を回すには、もはや今の「限度額」という古い枠組みでは限界があります。2000年に作られた「20万円」という魔法の数字が、今の物価高で解けてしまっているのですから。

私たちは声を上げ続けなければなりません。介護士さんの笑顔を守ることと、利用者の尊厳を守ることは、決してトレードオフ(どちらかの犠牲)であってはならないのです。

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